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ワクワクする撮影
何かを創作したり表現している人の中で、自分が創りたいものを創り、その活動だけで生活費を得て暮らしていける人はごく僅かです。
ほとんどの人は、創作活動をしながら、同じジャンルではあるけれど自分が創りたいものとは違うものを、お客様からの希望に従って創ったり、または全く違うジャンルで生活費を得るためのお仕事をしている人たちも多いと思います。

僕も以前は、自分が撮りたいイメージと、お客様からの依頼で撮影する写真は全く同じになることはほとんどないので、作品作りとお仕事として受ける撮影とは分けて考えたほうがすっきりすると考えていました。
でも、そうしてしまうと、依頼いただいての撮影が、お金を得るためのお仕事としての位置づけになり、ともするとワクワク感のないサラリーマン時代にお客様対応をしていた頃の感覚に近いものになってしまうようにも感じました。もちろん手抜きする訳でも適当に対応する訳でもなく、お客様の求めるイメージにできるだけ近づけるように経験やスキルをフル動員して対応はするのです。ですがワクワクしたクリエイティブな撮影という感覚にになりにくいのも確かです。

せっかくフルタイム好きなことをさせてもらえるようになったのに、これではちょっと違うのではないかとモヤモヤしていた頃、宮崎駿監督作品の音楽で知られる作曲家の久石譲さんが書いた「感動をつくれますか?」という本に出会いました。
これこそ本物のプロフェッショナルなクリエーターの姿勢!
音楽と写真、という違いはあるけれど、書かれている内容に違和感はありませんでした。目から鱗でした。

こちらに久石さんのインタビュー記事があり、久石さんの考え方が簡潔に書かれているので、一部引用します。


「アーティストというのは、モーツァルトだってハイドンだって、発注があってしか書いていないんです。発注なしで作っていたのは、シューベルトとプーランクくらいじゃないかな。「浮かんだら書く」なんてそんな呑気な話はありません(笑) 依頼は、作品をつくる手がかりにもなります。「お金がない」と言われたらオーケストラではなく小編成にするし、「アクション映画だ」と言われたらラブロマンスみたいな曲を書くわけにはいかない。このように、どんどん限定されていきますよね。そういった制約は決してネガティブなことではなく、「何を書かなければいけないか」ということがより鮮明に見えてくるだけなので、僕は気にしていません。  大事なのは、映画のために書いているふりをして、実は本当に映画のためだけではないこと。つまり、自分がいま書きたいものと発注をすりあわせていくんです。アーティストが書きたいと思っているものでなければ、人は喜んでくれない。いま自分が良いなと思っている音楽の在り方――それは幅広いジャンルにあるので、その中で、いま発注の来ている仕事と自分の良いと思うものとを照らし合わせるんです。」


僕がいただく撮影の依頼のうち8割くらいは宣材写真の撮影です。
毎日のように宣材を撮り続けていると、自分が宣材しか撮れないようになってしまうのではないかとか、自分の作品として撮ろうとしても宣材っぽくなってしまうのではないかとか、そんな不安を抱いていましたが、久石さんのようなやり方ができるなら、依頼された撮影の中で、自分の作品と言えるものを撮ることだってできるかもしれない。
宣材としての要件を押さえ、お客様の要望を満たし、その上で、写真の中に自分なりのこだわりやテーマを入れ込んで、自分の作品として仕上げるぞという意識で撮影に臨むようにしてみました。

とまぁ言うのは簡単ですが、いろんな制約条件がある現場で、お客様の要望をクリアする写真を撮るだけでもやっとの思いという状況で、更にそこに自分のこだわりも入れるというのは、なかなかにハードルが高いものです。
でも、目標を高く持って、それにチャレンジしていく気持ちで臨んだほうが充実感が持てるし、やりがいもあるし、楽しい!

今後も試行錯誤しながら毎回の撮影をマンネリなルーチンワークにせず、更にクリエイティブで楽しいものにしていきたいと思っています。