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作品撮りで撮った写真は宣材として使えるのか?
以前こんな記事を書きました。

宣材写真のディレクションは誰がやるのか?
作品撮りとは
作品撮りをうまくやるには

この続きで、今回は「作品撮りで撮った写真は宣材として使えるのか?」というお話をしてみたいと思います。
おさらいしておきますと、


・宣材撮影
  モデルさんなどがお仕事を取るためのプロモーションツールとしての写真を撮影すること

・作品撮り
  カメラマンやヘアメイクなどのクリエーターが自分の作品として使う写真を撮影すること


であり、目的が全く異なります。
違う言い方をすると、写真に写し込もうとしているものは

・宣材写真:モデルがアピールしたいもの
・作品  :クリエーターが表現したいもの

上記の2つがたまたま同じものであれば宣材写真としても作品としても使える、ということになります。 そんなに都合の良い偶然が起こる確率は低いはず・・・なんですが、写真というのは撮る人撮られる人が意図しているもの以外のものも写り込んでしまう、モヤモヤとしたというか、ある意味アバウトな世界なので、意外に違う目的で使えたりするんですね。
で、このモヤモヤしたアバウトな世界を少し整理してみます。



写真には撮る人が意図的に写し込んたもの以外にも、いろんなものが写っています。
例えばあるモデルさんが、自分の首から肩にかけてのラインがキレイだとよく言われ、そういう部分を見せるお仕事を何度か取ったこともあったとします。
つまりこの人のアピールポイントのひとつは首から肩にかけてのラインで、宣材の中にはこのラインがキレイに写った写真を入れたいわけです。

で、あるクリエーターの作品撮りに協力して撮った写真に、偶然この首から肩にかけてのラインがきれいに写っていたとします。
しかしこの作品を宣材として使うには、このラインが写ってさえいればいいという訳ではなく、写真全体のテイストも含めて宣材としての要件を満たしていないといけません。
例えばこの作品に男目線のセクシー感がただよっていて、事務所的にアピールしたいのが清楚でさわやかなイメージだとすると、この作品は宣材としてはNGでしょう。
逆に言えば写真全体のテイストも含め、宣材写真としての要件を満たしている写真であれば、宣材として使える。ということになります。


図にしてみます。




上の図で、横軸は宣材としての要件を満たしている度合い。
要件はもちろん人によって様々ですので、具体的に写真のどこがどう、とは一般論では言えません。

縦軸は作品度。例えば作り込みまくっている写真、アートな雰囲気がただよっている写真、は誰が見ても作品度が高いように見えると思います。 しかしそれとは逆に、ナチュラルテイストな作品を撮る人もいます。
ですので一見作品っぽい写真だけが作品度が高いかというとそいういう訳でもないところが難しいところです。 そこで「作品度とはそれを創る人が表現したいと思ったものが写り込んでいる度合い」 と言えばまぁ正確かなと思います。

A,B,Cの3つのゾーンそれぞれ、「例えばこんな写真」という例を載せています。

Aは作品度が高くて宣材度が低いゾーン。
例の写真は極端ですが、アートのようなメイク。ここまでくると誰が写っているか分からないですから宣材としてはもちろんNGです。

Cは逆に作品度が低くて宣材度が高いゾーン、
スタジオで宣材撮影メニューで撮ってもらう写真には、この例のような白バックでオーディション用によく使われるような感じの写真が多いと思います。
こういう感じの写真を作品として撮っている人もいるかもしれませんので、一概にこれが作品度が低いとは言えませんが、まぁ多くの方がそう感じるだろうということで、ここではCゾーンに入れます。

Bは作品度も宣材度も高いゾーン。
例にあげているアップのカットは、室内で光に包まれているような柔らかい空気感を出そうとしました。僕としては表現しようとしたものが写っている写真です。モデルさんの顔立ちや表情もしっかり写っているので宣材度も高いはずで、実際宣材として使っていただいています。



宣材として使えるのは、図で言うと当然ですが宣材度が高い右側のBかCのゾーンに入る写真ということになります。
つまり、「作品撮りで撮った写真は宣材になるか?」
の答えは、

「あなたにとってその作品の中に、あなたがモデルとしてアピールしたいものが写り込んでいて、かつ写真から受けるイメージが事務所がアピールしたいと考えているあなたのイメージと一致しているのであれば、宣材としても使えますよ!」

ということになります。

この図を見ていると、いろいろ書きたいことが湧きだしてきますが、ちょいと長くなってしまったのでまた別の機会に!
作品撮りをうまくやるには
前回の続き、作品撮りについてです。


作品撮りするには自分がほしいイメージを創るために必要な人たちを集めないといけません。
まずこれが関門で、どういう人と組むかで作品のテイスト、クオリティが決まります。それにお互いにイメージを伝え合うためのコミュニケーションスキルも重要です。
クリエーターというのは変わった人が多いですから・・まぁ僕もそうですが・・笑 コミュニケーションするのに苦労することもあるのではないかと思われます。


モデル撮影の作品撮りに参加してくれる人を探すのにこんなサイトがあります。僕もずいぶん昔にここに登録していましたが、嫌な思いをしたのをきっかけにやめました。世の中いろんな人がいるものです。


作品撮りの参加者みんなが使えるようなのを撮りましょう的なセッションの場合、かかった経費は参加者で割り勘にすることが多いと思います。
逆にカメラマンなりヘアメイクさんなり、ある人がほしい作品を撮るために、他の人たちが協力する場合もあります。
この場合は協力してくれる人にギャラを払うことが普通でしょう。


前者のやり方が、経済的負担は少なくてすむし、みんなが使う写真が撮れるのだから一見いいんじゃないかというふうに見えるかと思いますが、しかしそういう作品撮りを公平感を保ちながら進めることは難しく、1人だけ得をすることが多いのではないかと思っています。
メンバの中の声の大きい人に他の人達が引きずられて、結局その人がほしい写真は撮ったけど、自分が使えるものは撮れなかった・・・なんてことになりがちなのではないかと思われます。もちろん作品撮りの全てがそうだとは言いませんが、気をつけないと一人だけ得をする会に参加されられた、ということになってしまうこともあるかと思います。


そもそも参加者各人の目的が違うのですから、本気で自分のほしいイメージを追求しようとすればするほど、つまりお遊びではなくて真剣勝負になればなるほど、1回のセッションでみんながほしいものができるなんていう都合のよい話にはならない、と思っていたほうが間違いないと考えています。


ということで、僕のおすすめは、参加者のうち1人がほしいイメージのものに絞り込んで他の人はそれに協力してあげて撮る、それを持ち回りで複数回行う。というやり方が公平で良いのではないかと考えています。
つまり1回の撮影の中でディレクションする人は1人だけ。とすっきり明快にするということです。
そうすれば参加者が自分のやるべきことに集中でき、よりクオリティの高い作品ができるのではないでしょうか?
作品撮りとは?
作品撮りとは、クリエーターが自分の作った作品を写真に撮ること。またはカメラマンが自分の作品として写真を撮ること。


Test Shootと言われることもありますが、お仕事としてのクライアントからの発注による撮影ではなくて、自分達の作品作りのための撮影、という意味合いかと思います。
さてこの作品撮り、カメラマンだけがやる訳ではありません。 インスタで「#作品撮り」のハッシュタグが付いた写真をみると、美容師さんが撮った写真がすごく多いです。
想像ですが、ヘアサロンではホットペッパービューティーなどに載せる写真が結構重要な販促ツールになると思うので、撮影に力をいれていらっしゃるのではと思われます。


この作品撮りの「作品」とは何を指すのかというと、カメラマンの場合は「写真そのものが作品」です。
一方、例えば美容師さんが作品撮りした写真は、写真に写っている「ヘアスタイルが作品」です。
つまり例えばカメラマンの作品は、光の扱いなどの写真表現そのものが作品の内容になるのに対して、美容師さんの写真の中の光の表現は、作品であるヘアスタイルをよりよく見せるための演出効果という位置づけになる、ということです。


カメラマンも専門はいろいろありますから、例えば物撮り専門カメラマンならモノを撮った写真が作品になりますし、人物を被写体にする場合にはモデルさんが必要になります。 モデルさんと言っても、若い女性ばかりが対象になるとは限りません。
一般の人物を対象にして作品を作る人もたくさんいます。 逆にファッション系のカメラマンやヘアメイクさんは、いわゆるモデルさんを撮りたい、しかも外人やハーフのモデルがいい、という人が多いように思います。


作品撮りした写真はBOOKに入れて自分を売り込むために使われたりします。
BOOKに入れている作品集のことを「ポートフォリオ」とも言いますが、自分はどういう作品を作っているのかを人に見てもらうため、お仕事を取るため、に使います。
BOOKについては2年前になりますが、こんな記事書いてます。
この記事に「BOOKもデジタル化されるのでは」と書いていますけれど、未だに重たいBOOK担いでいるモデルちゃんが多いようです。iPadとかタブレットに入れりゃ軽いのに。と思いますけど、そうもいかないのでしょうか?


ちなみにモデルさんが自分を売り込むためにBOOKに入れる写真は、宣材写真や今までいただいたお仕事の写真、それにカメラマンやヘアメイクさんの作品撮りに協力して撮った写真などです。
カメラマンなどの作品撮りに協力して撮った写真は本来の目的は違うわけですが、宣材として使われることもあるようです。 えーそれは可能なの?という件については別途記事を起こしたいと思っています。


で、この作品撮り、やってみたけどなんだかなぁ〜という経験をされた方も多いのではないでしょうか?
僕も今まで作品撮りをしてみて、なかなかに難しいなぁと感じておりまして、それについては次回書いてみたいと思います。
ワクワクする撮影
何かを創作したり表現している人の中で、自分が創りたいものを創り、その活動だけで生活費を得て暮らしていける人はごく僅かです。
ほとんどの人は、創作活動をしながら、同じジャンルではあるけれど自分が創りたいものとは違うものを、お客様からの希望に従って創ったり、または全く違うジャンルで生活費を得るためのお仕事をしている人たちも多いと思います。

僕も以前は、自分が撮りたいイメージと、お客様からの依頼で撮影する写真は全く同じになることはほとんどないので、作品作りとお仕事として受ける撮影とは分けて考えたほうがすっきりすると考えていました。
でも、そうしてしまうと、依頼いただいての撮影が、お金を得るためのお仕事としての位置づけになり、ともするとワクワク感のないサラリーマン時代にお客様対応をしていた頃の感覚に近いものになってしまうようにも感じました。もちろん手抜きする訳でも適当に対応する訳でもなく、お客様の求めるイメージにできるだけ近づけるように経験やスキルをフル動員して対応はするのです。ですがワクワクしたクリエイティブな撮影という感覚にになりにくいのも確かです。

せっかくフルタイム好きなことをさせてもらえるようになったのに、これではちょっと違うのではないかとモヤモヤしていた頃、宮崎駿監督作品の音楽で知られる作曲家の久石譲さんが書いた「感動をつくれますか?」という本に出会いました。
これこそ本物のプロフェッショナルなクリエーターの姿勢!
音楽と写真、という違いはあるけれど、書かれている内容に違和感はありませんでした。目から鱗でした。

こちらに久石さんのインタビュー記事があり、久石さんの考え方が簡潔に書かれているので、一部引用します。


「アーティストというのは、モーツァルトだってハイドンだって、発注があってしか書いていないんです。発注なしで作っていたのは、シューベルトとプーランクくらいじゃないかな。「浮かんだら書く」なんてそんな呑気な話はありません(笑) 依頼は、作品をつくる手がかりにもなります。「お金がない」と言われたらオーケストラではなく小編成にするし、「アクション映画だ」と言われたらラブロマンスみたいな曲を書くわけにはいかない。このように、どんどん限定されていきますよね。そういった制約は決してネガティブなことではなく、「何を書かなければいけないか」ということがより鮮明に見えてくるだけなので、僕は気にしていません。  大事なのは、映画のために書いているふりをして、実は本当に映画のためだけではないこと。つまり、自分がいま書きたいものと発注をすりあわせていくんです。アーティストが書きたいと思っているものでなければ、人は喜んでくれない。いま自分が良いなと思っている音楽の在り方――それは幅広いジャンルにあるので、その中で、いま発注の来ている仕事と自分の良いと思うものとを照らし合わせるんです。」


僕がいただく撮影の依頼のうち8割くらいは宣材写真の撮影です。
毎日のように宣材を撮り続けていると、自分が宣材しか撮れないようになってしまうのではないかとか、自分の作品として撮ろうとしても宣材っぽくなってしまうのではないかとか、そんな不安を抱いていましたが、久石さんのようなやり方ができるなら、依頼された撮影の中で、自分の作品と言えるものを撮ることだってできるかもしれない。
宣材としての要件を押さえ、お客様の要望を満たし、その上で、写真の中に自分なりのこだわりやテーマを入れ込んで、自分の作品として仕上げるぞという意識で撮影に臨むようにしてみました。

とまぁ言うのは簡単ですが、いろんな制約条件がある現場で、お客様の要望をクリアする写真を撮るだけでもやっとの思いという状況で、更にそこに自分のこだわりも入れるというのは、なかなかにハードルが高いものです。
でも、目標を高く持って、それにチャレンジしていく気持ちで臨んだほうが充実感が持てるし、やりがいもあるし、楽しい!

今後も試行錯誤しながら毎回の撮影をマンネリなルーチンワークにせず、更にクリエイティブで楽しいものにしていきたいと思っています。
昨年のこと


昨年撮らせていただいた方のうち、一般の方を除いたモデルさんのカットを並べてみました!
昨年1年間の撮影回数は200回くらいで、月あたりにすると15回程度でした。
これにミーティングや写真館でのバイトも加えると、外出した日は週に5日くらいで、ちょうどサラリーマンの出勤日数と同じになりますが、撮った写真の現像やレタッチにも、かなりの時間がかかります。
家にいる時は、ほとんどパソコンの前で作業していたので、サラリーマン時代よりも仕事に費やす時間が長かったと思います。

これだけ写真のことに時間を費やすことができるのも、撮ってほしいと言ってくださる方々がいるおかげです。

今年も好きなことをフルタイムできる幸せを噛みしめながら、過ごして行きたいと思います!
僕は何故、人しか撮らないのか?
僕が撮る対象として関心があるのは人だけです。
人以外の、風景、動物、モノ、などには興味が湧きません。
自分でも何故そうなのか、良く分からなかったのですが、いろいろ考えていくうちに多分こういうことなんだろうというのが見えてきたので、今日はそれを書いてみます。

人は写真を撮られる時、大なり小なり撮る人からの影響を受けます。
撮る人がすごく気持ち悪い感じの人なら、引き気味になって硬くなってしまうでしょう。

撮られる人が撮る人から影響を受ける。ということはつまり、撮る人が違えば撮られる人の写り方も違ってくる。
つまり「撮る人(が醸し出す雰囲気や、態度や、発する言葉)が、撮られる人に反射して写真に写る」とも言える訳です。
こういう「被写体が撮り手からの影響を受けて、写り方が変わる」という事象は風景やモノを撮る時にはないことであり、人を撮る時特有なことだと言えます。

写真を撮る時、対象をどういう構図で撮るか、とか、あるいは光を読みつつ露出や焦点距離を決定したりとか、そういう絵作りに関わる基本動作が必要になりますが、人を撮る時は、そのような基本動作に加えて、被写体とのコミュニケーションが発生します。
ここで言うコミュニケーションは、言葉でのやりとりだけでなくて、上に書いたような撮る人が撮られる人に対して影響を与える、雰囲気や態度なども含みます。
人以外の被写体であれば、上記の基本動作の範囲で撮れる訳ですが、人を撮る場合は基本動作がうまくいって意図通りの絵作りができたとしても、コミュニケーションがうまくいかなければ良い表情をしてくれないかもしれません。

僕は人を撮る時、人とコミュニケーションしつつ、自分自身が撮られる人に反射して自分のカメラの中に写り込む。というところに面白さを感じているようです。
そんなようなことで、人と、人以外の被写体というのは僕にとっては全く違うものであり、撮る対象として人にしか興味を持てないのだろうなぁと思っています。

この3ヶ月、どうしていたか?
今度はブログ続けますよ〜とか言っておきながら、3ヶ月近く放置しておりました〜トホホであります・・

ブログって、一旦止まってしまうとあれこれ考えすぎてしまうようで、書くのが億劫になってしまいますね〜
今後はあまり気負わず、普段やっていることや考えていることをご紹介していく感じでやってみようと思います。
っということで、今日は僕がどんなような撮影をしているのか?というのをご紹介します。

ちょうどフルタイム自由の身になって3ヶ月!
この3ヶ月間の撮影回数を数えてみたところ、47回
その内訳は・・


依頼いただいての撮影:45回
うち  宣材写真:40回
    企業様からのご依頼:4回
    キッズファミリー:1回

自分のイメージで撮る作品撮り:2回


宣材写真というのは、モデルさんやタレントさんがお仕事を取るためにご自分を紹介するための写真で、1枚もののパンフ的なコンポジット、複数の写真をファイルしたBOOK、事務所サイトに掲載する写真、などに使われます。

キッズファミリーフォトは、一般のご家庭の方から七五三などのイベント撮影や、自然な感じのファミリーフォトがほしいと依頼いただいて撮影するものです。

企業様からはサイトなどに掲載する人物写真の撮影をお受けすることが多いです。

平均すると週に3回か4回ですから、まだ余裕あるなぁという感じですが、イメージ合わせやだんどり確認のミーティングを設けることも多く、また、デジタルになって1回の撮影で数百枚撮るのはあたりまえ、しかも撮った後にRAW現像やらレタッチなど、パソコンでの作業も結構な時間がかかります。
そういう時間や、プロモーション活動やら、もろもろの雑用などなどの時間を加えると、フルタイムパツパツ、とまではいかないものの、写真以外のことをやる時間がそんなにとれないなぁというような3ヶ月間でした!

好きな写真のことをしていて時間が埋まる、というのはとてもありがたいことです!

ちなみに、こちらのほうは、ほぼ一日おきに写真アップしていますので、たまに覗いていただければと思います(^^)